唇あせねど
フランク永井が歌った「君恋し」は何度聞いても良い歌ですが、歌声だけでなく時雨音羽の歌詞でも、彼女への満たされぬ想いを切々と歌い上げており、まさに作詞者の想いではないのかと考えたりもします。
「君恋し」 時雨音羽作詞/佐々紅華作曲
1. 宵闇せまれば 悩みは涯なし みだるる心に うつるは誰(た)が影 君恋し 唇あせねど 涙はあふれて 今宵も更け行く
2. 唄声すぎゆき 足音ひびけど いずこにたずねん こころの面影 君恋し 想いはみだれて 苦しき幾夜を 誰がため忍ばん
3.君恋し 唇あせねど 涙はあふれて 今宵も更け行く…
この歌詞の中で「唇あせねど」の解釈が微妙です。ネットで調べると「合わせねど」の短縮形だという解釈が多いようです。この場合は愛する人にはまだ告白も出来ていない男性の心の葛藤を歌ったという解釈が成り立ちますが、私は別の解釈もありかと思っています。
「ゴンドラの唄」も有名な曲(佐伯孝夫作詞)ですが、この1番の歌詞に
1. 命短し 恋せよ乙女 朱きくちびる 褪せぬ間に 熱き血潮の 冷えぬ間に 明日の月日の ないものを
この場合のあせぬは明らかに、朱い唇の色が褪せぬ若いうちにという意味で使われています。 というように考えれば、「君恋し」は、この前口づけをして別れて、この唇の感触がまだ残っている(褪せていない)のに、今は君がいないので「君恋し」と考えると、もっとこの歌詞が生きてくるように思うのですが…