菊は栄える、葵は枯れる

2019年02月13日
「勘太郎月夜唄」は東宝が昭和18年に制作した「伊那節仁義」の主題歌だそうですが、主人公・伊那の勘太郎は架空の人物です。この映画と主題歌がヒットしたため有名になり如何にも実在したかの如く語られていますが、この時代はまさに太平洋戦争の真っただ中だったため、股旅ものの映画制作は当然ご法度。このため、時代背景は幕末で、倒幕運動に加担した侠客という触れ込みで許可が下りたようです。


勘太郎月夜唄(佐伯孝雄作詞)

3. 菊は栄える 葵は枯れる
  桑を摘む頃 逢おうじゃないか
  霧に消え行く 一本刀
  泣いて見送る 紅つつじ

3番の歌詞、「菊は栄える、葵は枯れる」はこの幕末の新政府軍と徳川幕府軍の戦、鳥羽・伏見の戦いを指しています。1868年に起きたこの戦いにより幕府軍は敗北し、政権は朝廷に返還され、明治維新が成し遂げられたのです。菊とは天皇家の紋章であり、葵は徳川幕府の紋章なので「菊は栄える、葵は枯れる」と歌われたのですが、このフレーズは他の歌にも引用されています。どうも、元は明治時代に「菊は栄える、葵は枯れる、西に轡(くつわ)の音がする」とうたわれていたようですね。当然、轡は薩摩軍のことです。

あゝ新選組(横井弘作詞)の3番の歌詞にも似たような表現で

3.菊のかおりに 葵が枯れる                                       枯れて散る散る 風の中                                 変わる時勢に 背中を向けて                               新撰組よ どこへ行く

ここでは「菊のかおりに 葵が枯れる」となっています。

歴史の中でも、薩長同盟から戊辰戦争終結まで数年間はまさに激動の時代です。誰が主人公になっても大河ドラマになるくらい面白いですね。
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